研究概要

導電性高分子を用いた分子エレクトロニクスの研究

シリコン半導体におけるデバイスの高密度化は、微細加工技術の粋を結集して驚異的な進展を見せている。一方、このような縮小化の方向とは逆に、最小単位の分子特に有機分子の組織化・集積化による機能素子いわゆる分子素子を目指した研究も近年急速に盛んになっている。

我々は、シクロデキストリンという環状分子を代表的な可溶性導電性高分子であるポリアニリンと溶液中で混合したところ、紐状の導電性高分子の回りを環状分子が包み込み、超分子構造体いわば分子被覆導線が形成される現象を見出した。

通常、導電性高分子は導電性高分子間の相互作用や溶媒分子との相互作用により凝集するため、1本鎖での物性測定がきわめて困難である。我々は、導電性高分子を絶縁被覆することにより分子間相互作用を抑制し、1本鎖での電気特性の測定に成功した。また、日立との共同研究により、分子長よりも狭い電極間ギャップ(100nm以下)、AFMで分子を確認可能な平坦性(0.3nm以下)を有する微細電極基板の開発に成功し、様々な孤立した分子ナノワイヤの電気特性の測定に成功した。

分子トランジスタのイメージ図 分子トランジスタのイメージ図
分子被覆導線のAFM像 分子被覆導線のAFM像

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