超分子ネットワークの実用化

ドコモの携帯電話に使用されている『SCRATCHSHIELD(スクラッチシールド)』は、 超分子ネットワーク構造により従来の材料よりも柔軟性に優れています。 この超分子ネットワーク構造の基本特許は東京大学が取得しており、すでに日米欧中で成立しています。

本技術が採用されている商品は以下の通りです:
docomo STYLE series N-03B (NEC社製)*2

超分子ネットワークについて

超分子ネットワークとは、「ひも」状の高分子を「輪っか」状の分子で接続した、これまでにない、新しいタイプの高分子ネットワーク構造です。「輪っか」は「ひも」のネットワークの結合点としてはたらきますが、「ひも」は「輪っか」を自由にすり抜けることができます。言わば、「分子でできた世界最小の滑車」です。

従来の塗料材料 イメージ図 超分子ネットワークの塗料材料 イメージ図
従来の塗料材料 超分子ネットワークの塗料材料

従来塗膜と超分子ネットワーク塗膜

従来塗膜

従来塗膜イメージ

従来塗膜は、結合点が固定された高分子(「ひも」状の分子)のネットワークでできています。通常、結合点間の高分子の長さはさまざまです。材料の外から力が加わると、短い「ひも」の部分に力が集中するため、そこから破壊が進行します。結局、材料は全ての「ひも」の強度を全て生かし切ることなく、小さな力で破壊してしまいます。

超分子ネットワーク塗膜

超分子ネットワーク塗膜イメージ

超分子ネットワーク塗膜では、外部から力が加わっても、高分子の「ひも」が「輪っか」をすり抜けるため、力が一部分に集中することなく「ひも」に均等に分散されます。このように、材料内の高分子の「ひも」の強度を最大限に生かせる構造となっているため、柔軟性に優れ、壊れにくいという特徴があります。

その違いを動画で比較

先端径10μm(1mmの100分の1)の金属針で、各塗膜表面にひっかき傷をつけたときの顕微鏡映像です。
従来塗膜ではひっかき傷がそのまま残るのに対し、超分子ネットワーク塗膜では塗膜の弾力性により、時間の経過と共に元に戻っていく様子がわかります。

*1
『SCRATCHSHIELD』 は日産自動車株式会社の登録商標です。
*2
『docomo STYLE series』 は株式会社NTTドコモの登録商標です。

[↑このページの先頭へ]